少子高齢化が急速に進み、生産年齢人口の減少が大きな課題となっています。こうした課題を踏まえ、はつかいち生活支援センター（以下「当センター」という）では、これまで４０代後半から７０代くらいまでの方の就労支援に注力し「長く勤めることができる」「高年齢でも働くことができる」といった企業の開拓などを行なってまいりました。
しかし、２０２３年に入り、当センターの就労に関する相談者の割合に変化が生じています。２０代の若年層が２５％（２０２３年１０月末現在）を占める状況となっており、これは年代別の割合としては１位となっており、若年層の就労に関する相談が非常に多くなっています。
若年層の相談では「やりたいことが見つからない」「自分にどんな仕事ができるかわからない」などの相談が多く、また、本人の「やる気」の問題だけではなく、これまでの社会経験や成育歴など様々な要因が背景にあると思われます。
こうした状況を踏まえて当センターでは、若年層の就労支援にも注力すべく、若年層向けの企業見学会を開催しました。
まず、９月２７日、１０月１３日の二日間に企業見学会を開催しました。「このような若者の力になれるのであれば」とゆめタウン廿日市、イワタ木工、安芸グランドホテル、カルビー広島工場の４社の企業が協力してくださり、実際の仕事現場を見学しました。
今回の見学会には１０代後半から３０代前半までの男女合わせて１２人の参加がありました。それぞれ違った背景はありますが「仕事をしたい」気持ちがある若者です。
一日目はゆめタウン廿日市とイワタ木工へ見学に行きました。
ゆめタウンでは、まず、母体であるイズミの歴史を教えてもらいました。参加者は広島県内で大きく成長したイズミの歴史に驚いていました。そして、店舗で働く「社員の一日」の説明を受け、実際に働く様子を動画で学びました。そのあと、総菜部門、鮮魚部門、精肉部門の各所を見学しました。店舗の裏側には総菜、鮮魚、精肉の調理場があり、衛生面を徹底しながら、食材の切り分けやパック詰め、惣菜づくりなど、こちらで店舗に並ぶ前の準備をし、お客様に商品を届ける作業をしています。参加者は普段、買い物で利用していますが、店舗の裏側を見るのは初めてのようで、様々な作業が行われている様子を興味深そうに見ていました。実際に自分たちがこの作業をすることをイメージすると「自分には難しいかも」や「この作業ならできそう」などの意見がありました。普段、目にすることがない現場の仕事を見て、イメージが湧いたようでした。
次はイワタ木工に見学に行きました。イワタ木工では会社概要の説明を受けました。会社の理念や社員一人一人の熱意などの話を聞きながら、製品を世界に発信する企業の思いを感じることができました。そして、実際の工場見学では、けん玉などの商品ができる過程を見学しました。一本の木材からいろいろな商品が出来上がる過程では、それぞれの作業を分担して、商品を製作しており、参加者はそれぞれの現場で自分が作業をする姿をイメージしていました。ミリ単位で作業をする姿や商品の色付けの鮮やかさを見て、驚きながらも「自分も世界に発信する商品を作ってみたい」と思う参加者もいました。
二日目は安芸グランドホテルとカルビー広島工場へ見学に行きました。
安芸グランドホテルでは実際の仕事現場を見学しながら、ホテル内の様々な仕事内容を説明していただきました。まず、ホテルの顔となるフロントでは、日本人以外にも海外のお客様の対応をすることが必要となる為、英語のコミュニケーションが必要であること、またそれ以上にホテルの接客では、笑顔などのボディランゲージが最も大切であることを知りました。その他にも調理場、客室、レストラン、売店などの多様な仕事を見学することで「自分だったらどの場所で働きたいか」などイメージが湧いたようでした。
次はカルビー広島工場に見学に行きました。カルビー広島工場では、まず「かっぱえびせん」の製造に関する映像資料を視聴しました。映像資料の中のクイズでは「あー、間違えた」「やった！正解した」など盛り上がる場面もあり、なじみのある商品に対する情報に驚きの声が上がっていました。その後、実際の製造現場を見学しました。商品に対する衛生管理の徹底ぶりや工場内の気温などの説明を受け、自身の体調や体力を考えるきっかけとなったようでした。
今回の見学会では、廿日市市内の企業に「若年層の就労支援」に対して共感いただき、協力を得て開催することができました。実際の仕事の現場を見ることにより、参加者はそれぞれ「仕事」に対するイメージを持つことができたようで、見学会後に就職が決定した参加者もいました。
はつかいち生活支援センターでは今後もこのような見学会を企画開催し、それぞれの若者に寄り添った伴走型の就労支援を行なっていきます。
